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zoom RSS 座敷が倉庫と化して by 稲角尚子

<<   作成日時 : 2017/03/22 11:41   >>

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あこがれの信州暮らし その156(2017年3月)

 座敷が倉庫と化して

 稲角尚子


 「ずっと馴染みの地で暮らしたい」と望んでいた一人暮らしの義母(83才)が移住を決断し、2月下旬に引っ越しをしました(よくぞ決断してくれました)。もちろん、その具体的な手続きや引っ越し作業は私たち夫婦が全面的に請け負って・・・。

 この半年の間に2軒の家を、4年前の私の実家を含めると全部で3軒の家を私たちが次々に引き払ったことになります。こう続けざまに家を片づける作業をすると、人ひとりが生きていくのに、なんとたくさんのモノに囲まれていることか、と思います。

 大家族での生活であれば、その中の一人がたとえ亡くなったとしても、家財のほぼすべては残った家族が引き続き使うことができました。でも、私たちが片づけた3軒の家はともに一人暮らし。一人暮らしとはいえ、家財道具は一式、それぞれにあります。それなのに、関係する親族の人数は少なく、各地でバラバラに生活していて、それぞれに所有しているものばかりです。たとえ何か譲ってもらいたいものがあったとしても送料の方が高くつく。
なにも親族に限定してリサイクルしなければならないってことはありません。誰かがどこかで使ってくれたら、と電話帳をめくってリサイクル業者に連絡するものの、使用年数が短いものでないとなかなか引き取ってもらえません。これが、片づける私たちの地元であれば「譲ります」と近隣に知らせる術があるのですが、遠隔地だとそうはいかない。第一、片づけに行く日数が限られていて(今回は1週間)、そんなリサイクル運動をやっている暇がないのです。こうして、昨日まで人ひとりが使っていた“必需品”が、きょうからは“不用品”や“ゴミ”になってしまいます。これがつらい。今の日本で、どれだけの家財道具、生活用品が「処分」され、“ゴミ”になっているかを考えると、途方に暮れそうになります。

 欧米にはムービングセール、ヤードセール、ガレージセールなどと呼ばれる、各家庭が引っ越しを契機に、あるいは家の中の整理のついでに、不用になったものを格安で売るリサイクル活動があります。私たちも、20年以上前に家族で過ごしたアメリカで、これらのセールをフル活用して、ほぼすべての家財道具を揃えました。庭や軒先、車庫でやることが多いので、当然、好天の日が多く、ワイワイガヤガヤといった笑い声や、色とりどりの風船がたくさん浮いていたりすると、まず間違いなく、それだとわかります。旧知の友人でもあるかのように笑顔で家の中に招き入れられることも多く、子どもらはいつのまにかジュースなんぞをもらっていたり・・。私たち親にとっても、普通の人の家の中を見る機会になって「ふ〜ん、こんな暮らし方してるんだ」と興味深く、病みつきになってしまいました。見るからにお金持ちの留学生が超格安で譲ってくれたベッドなんぞ、帰国時には担いで持って帰りたかったくらいです。

 あぁ! 今、わが家は、3軒の家にあったモノの中から、あまりにもったいないモノ、心情的に「処分」できないモノ、「とっておいて」と頼まれたモノ、モノ、モノに溢れています。加えて、ロンドンにいる上の息子の大量の本もありますし、この4月からは下の息子のナイロビ駐在(2年間)が決まりました。こうなってくると、賢いハズの、さすがの私も、どの段ボールが誰のモノなのかの判別が難しくなってきました。赤、黄、緑、青、茶と色分けしたガムテープでせっせと名前を貼り付けております。

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