八百屋おやおや「伝言板」

アクセスカウンタ

zoom RSS 馬と女。 by 佐々木優子

<<   作成日時 : 2017/03/29 21:07   >>

トラックバック 0 / コメント 0

馬と女。

佐々木優子

 今回もお馬の話です。娘の乗馬の先生から、万一の為にと、保険に入ることを勧められました。しかし、それを無視した私。落馬は、時には大怪我をすることを私も知っています。そして、競馬の騎手が、落馬によって致命傷を負ったニュースを耳にしたこともあります。しかし、うちの娘はまだ初心者です。たいしたことはやっていません。私は先生を信頼しています。その先生がつきっきりで手綱を引いてくれています。万が一なんてないはず。大怪我なんてしないよね、と軽い気持ちだったのです。

 しかし、保険に入っていないことを再三注意されたので、それでは「乗馬とはどれくらい危険なのですか?教えてくださいよ。」と、皆さんの正直な意見を聞くことにしたのです。先生だけでなく、乗馬を習いに来ている若者にも、同じく尋ねることにしたのです。そして・・・、聞いて、びっくりー!

 「99%の信頼と1%の危険」ですって!その1%の話が本当に怖かったのです。

 実際身近に起こったという、大怪我をした人の話をいくつか聞かされました。お馬さんはとても臆病な生き物で、小さな虫の襲撃や、突風で揺れた木の枝ぐらいで反応してしまい、簡単に暴走してしまうそうです。馬主の飴と鞭で手なずけられた愛馬でも、最後は自分の身を守るという事。しかし、99%は馬を信用して良いというのですから、悩ましい限りです。そして、これから先も娘に乗馬をやらせるのならば、そして、その危険性を確認したければ、お母さん自身がやってみることが一番、だと。本当にその通りですよね。

 そもそも、なぜ、こんなに心配性な私が、かわいい大切なひとり娘に乗馬をやらせようと思ったのか?

 それは直感です。私は直感を大切に、そして何よりもそれを優先したいと願っている人間なのです。もちろん、直感で生きていては社会生活が成り立ちませんから、そこは臨機応変にやっておりますが・・・。

 かなり飛躍した話になりますが、行き着くところは、何かあったら逃げて欲しい、生きていてほしい、という原始的な欲望からくる感情が理由で、乗馬を習わせているのです。こういう話を、都会で暮らす夫や友人に言うと、大笑いされるのがオチですが、北海道の道東で馬と共に暮らしている人々に、私のこの熱い思いを話すと、大いに共感してもらえるのです。本当に素晴らしい人々に出会えました。実際に戦後の混乱期に、馬のおかげで命が助かったという方が、今なお、ご健在の土地なのですから。

 そして、今現在、私が訪れた牧場には、馬に乗りたいという若い女が集まっているのです。家畜の世話をしながら乗馬を習いに来ている若者は、圧倒的に女子が多かったのです。この事象は、女はカンがよく、将来の不安への備えをしているのではないのか、とさえ思えました。(これは私の妄想に過ぎませんが)。

 (妄想はおいておいて)、現在のこの安泰は、長い歴史の中でも稀であり、不自然な現象、だと私は思います。常に、災害、獣や敵の襲撃から身を守ってきた人類。何か起こりはしまいかと不安になったり、心配したりする感情がわいてくるのは自然なのではないか、と思うことがあります。現に、安穏が長く続くと、逆に不安になりませんか?私はなります。

 さて、高所恐怖症を理由に乗馬を避けていた私ですが、とうとう馬の背に乗り、散歩に出かけることに。もちろん、ベテランのガイド付きです。その役目を買って出てくれたのが、娘の先生のお師匠さん。この方は、思想もしくは哲学者と言っても過言ではないくらい思慮深い方で、本当に素晴らしいガイドを務めてくれたのです。お師匠さん曰く、「客の能力以上の力を引き出せるか否かが、ガイドの力量にかかってくる」と、おっしゃる通り、引率は素晴らしかった。お陰で私は乗馬の世界を垣間見ることができたのです。

 そこにあったのは「支配と服従」。自分よりもはるかに体が大きい生き物を操っているという、優越感に私は酔いしれることができたのです。思いもしなかったこの感情に恥ずかしさを感じたくらいです。馬を支配することがこんなにも快感とは。危険を冒しても乗馬にのめり込む気持ちが理解できたのです。

 この「何ものかを支配する」という魅惑的な感情はいったいどこからくるのでしょうか?非常に危険です。これ、人類が未だに争いを止められない理由のひとつなのではないでしょうか?獣を服従させたい、しいては、他者を服従させたい・・・なんてね。(私の妄想は止まることを知りません)。

 実際は、お馬さんにベロベロなめられたり、甘噛みされたり、馬糞を踏んだりと、戯れていると体中が馬の毛だらけになって馬臭くなってくる。化学物質過敏症やアトピーなどのアレルギーが吹き飛んでしまうくらい、不思議と頭も体もクリアな状態になります。それは海水浴に行って、波にのまれて鼻の中にも海水が入ってきて、ツーンと痛くて、やっと砂浜に上がって、体中が海水と砂まみれになっていて、呆然と海を眺めている時と同じくらい無の状態です。それは、とても平和的な気持ちになれるのです。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
馬と女。 by 佐々木優子 八百屋おやおや「伝言板」/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる