八百屋おやおや「伝言板」

アクセスカウンタ

zoom RSS 無事を祈る by 稲角尚子

<<   作成日時 : 2017/04/26 17:32   >>

トラックバック 0 / コメント 0

あこがれの信州暮らし その157(2017年4月)

 無事を祈る
             
 稲角尚子
    
 庭のハナモモの花芽もぐぐっと膨らんできました。ラジオは西日本や東海・関東地方の桜のお花見の話題で持ちきりですが、このあたりの桜の開花ももうじきかな? 裏のサンショの木の根元に広がるわが家の山野草園(!)では、セツブンソウ、キクザキイチゲなどのスプリング・エフェメラル(spring ephemeral)と呼ばれる野の花が次々に咲いています。「春の妖精」と呼ぶにふさわしい、実に可憐な花です。カタクリも葉を広げてきましたよ。不思議なのは、あんなに華奢で小柄で線が細く、はかなげな野の花たちが、強風や霜などの逆境に強いこと。「束の間の」「はかない」という意味のエフェメラルという言葉どおりに、春先のほんの数日間の花を咲かせるために、昨夏から長く地下で栄養を蓄えて「その時」を待ち続ける花々。・・・励まされます。

 ここ数年、わが家の上空を飛んで北アルプスに救助に向かうヘリコプターを見ることが増えたなぁと思っていました。畑仕事や庭仕事をしていると、登山シーズン中には連日のようにヘリコプターの音を耳にします。一日に3回も往き来しているのを目撃したこともあるくらいです。それだけ登山人口が増え、それに伴って遭難やケガが増え、救助隊の方々が出動する回数も増えたのでしょう。

 3月、長野県の防災ヘリコプター「アルプス」が、山岳救助の訓練中に鉢伏山の斜面に墜落しました。難しい谷であれ急斜面であれ、「何とかして助けたい」と救助に向かっておられたであろう9人の方々の無念の事故死に手を合わさずにいられません。

 そうして、先月はもうひとつ痛ましい事故がありました。栃木県那須町で起きた雪崩で、大田原高校の生徒さんたち8人が亡くなりました。「春山安全登山講習会」の中で起きた事故だけに、一層やりきれない気持ちになります。講習会の指導者は「雪のため登山は中止。でも、せっかく来たのだからスキー場のゲレンデ脇でラッセル訓練だけでもさせてあげよう」と考えたのでしょうか。その判断を、事故後に非難することは簡単だけれど、実際に私がその場にいたとしたら、はたして「いや、今日は帰ろう」「引き返して、またの機会にしよう」と言えたかどうか。

 新聞報道によると、亡くなった生徒さんの中には「将来は絶滅危惧種を救う仕事がしたい。信州大学で生物学を学びたい」という方がいたそうです。今もいるんですよね。山や生きものが好きで、名指しで「信州に行きたい」と考える若者が。そんな若者の命が、一瞬にして散ってしまった。危険を避けたいなら、危険から遠ざかるのが一番。山に行かないことです。でも、一律に遠ざけることが唯一の解決策とも思えない。

 3月下旬、下の息子がナイロビに旅立ちました。これから少なくとも2年間、強盗やテロなどどんな危険に遭遇するかわからないナイロビに常駐するわけで、私も心配し始めたらキリがありません。でも、彼の情報収集能力と危険を察知し回避する行動力、どんな人ともつきあえる人なつこい性質、そして彼の動物的な勘(?)を信じて、無事を祈るだけです。

 ただ、これだけは言えますよね。「『戦争』による死は、人智で避けられる」って。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
無事を祈る by 稲角尚子 八百屋おやおや「伝言板」/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる