今、できることをしよう by 稲角尚子

あこがれの信州暮らし その191(2020年12月)

今、できることをしよう


稲角尚子


「クリスマス寒波」より10日も早く、いきなり冬将軍の到来です。庭も畑も白一色。9-10月の日照不足のせいで例年よりも育ちが遅かった白菜を最後に収穫して物置に収納し、畑の残渣を片付けたのが昨日のこと。車も冬タイヤに交換済みだし、・・・やれやれギリギリ間に合いました。

 ここ1ヶ月は畑に出没するサルを爆竹やロケット花火で追い払いながら、収穫作業に勤しむ日々でした。意外なことに、私ってロケット花火が好きみたい。放物線を描きながらヒュ~ンと飛ぶアノ瞬間がオモシロイんです。もちろんサルに当てるためではなく、威嚇して立ち去らせるためなんですが、サル軍団のごく近くまで上手に飛んで上空でパン!と破裂音がすると、「ムフフッ、私って飛ばすの、うまくない?」。

 追い払っても追い払っても性懲りも無くやってくるヤツら。青首大根は引っこ抜いて、辛みのない青い部分からガリガリッと歯形を残して食べるし、黒豆はしゃがみ込んで豆の鞘を両手でちぎって上手に囓る。畑の隣にある大家さんちのお墓に供えてあったミカンも、実に上手に皮を剥くんです。両手が使えるって、ヒトと同じ動作ができるってことなんですね。

 2階のベランダで私が干柿を揉んでいる最中に、ふと視線を感じて振り向くと、近くの石垣のところにいるサル2頭と目が合いました。その時の「やべぇ」という顔ときたら、保育園や小学校低学年の頃の息子たちの表情とソックリ!なんです。

 「母さんがいない時に火を使ったらダメだからね!」と言いきかせて私が下の娘を連れて出かけたあとに「おへぎ(私が餅を薄切りにして干しておいたもの)」をオーブントースターで焼いて、それが焦げ、そのもうもうとした煙を自分たちの下敷き2枚でパタパタと一生懸命に窓から外に出そうとしている、ちょうどその時に私が帰宅した、その時の息子たちの「やべぇ」という顔と全くおんなじなんです。

 たぶん、サルってヒトの3才~8才くらいの知能があるんじゃないかしらん?

 でもね、ボスのプライドを侮ってはいけません。

 毎年、初夏に庭にやってくるカッコウを追い払うために、私が毎年カッコウの鳴き真似をするって話は前にもしましたよね(カッコウのアノ大音量の鳴き声が朝4時20分からウルサイからです)。あの♪カッコウ♪はオスの縄張りのためでしょうから、私が毎夏、偽カッコウになって縄張り宣言を続けたところ、カッコウは首を傾げながら(本当に傾げるんです!)退散するという本当の話。

 ですから、今回もサルの「ファファファファファッ」というボスの陣取りの声を真似して、私も「ファファファファファッ」と大声で言ってみたんです。そうしたら、その直前に裏の石垣のところで「ファファファファファッ」と言っていたオスザルが、猛然と私に突進してきたのには、驚きました。いやもう、ものすごいスピードで駆け下りてきたんです。本物の動物、いや、獣そのものという感じで! 私は全速力で玄関に逃げ込み、左手に爆竹、右手にチャッカマンを掴んで外に出ました。彼はチャッカマンに恐れを抱いたようで、くるりと向きを変えて畑の方へ逃げたのでした。

 いやはや、アブナイところでした。あの、鋭い歯でガブリと噛みつかれたら、えらい惨事になるところでした。

 アメリカのロックバンド、BON JOVIがコロナ禍の中で私たちに呼びかける曲“Do What You Can”(今、できることをしよう)を聴きました。

 私ができることは、サルを穏やかに山に帰すこと・・・・で、いいのかな?

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